テニスのトレーニングメニュー

家で出来る!試合に強くなるテニスのメンタルトレーニングのやり方

「テニスはメンタル(精神)のスポーツである」

これは多くのトッププロテニスプレーヤーが語るテニスの本質の1つだといえるでしょう。

僕も指導者として「試合になるとチキって(弱気になって)負けてしまうので、メンタルの鍛え方を教えてください。」と質問される機会は数多くあります。

正直、メンタルというのは目に見えないものなので、いわゆる筋トレのようにトレーニング方法やその効果が分かりにくいものです。

しかし、きちんと鍛えることで試合中の「集中力のコントロール」や「気持ちの切り替え」ができるようになります。

それができるようになれば今あなたの持っている技術・体力・戦術を最大限に引き出すことができるでしょう。

今回は、家でも出来るメンタルトレーニングについて解説していきます。

メンタルトレーニングについて書く前に!本当にあなたの敗因はメンタルなのか

僕は、「メンタルが原因で負けました」という試合の9割方はメンタル以外の原因が主で負けていると思っています。

もちろん、練習の時にできているプレーができなかったのだからメンタルのせいだろうと感じるのは一理あります。

しかし、実はほとんどの人が「練習の時にできているプレー」を勘違いしているケースが多くあります。

つまり、「練習の時にできていると勘違いしているプレー」を試合でやってしまっているということです。

それではそのプレーが上手くいかないのも、試合に勝てないのも当たり前ですよね?

そもそも、スポーツの試合において大切だといわれている「心技体」において、試合の勝ち負けを左右する優先順位に並び替えると「技体心」になります。

最初は技術力の勝負で、それが拮抗した場合は体力勝負になり、それでも拮抗している場合にやっと精神力の勝負になるのです。

つまり、メンタルが原因で負けたと思っている試合の多くは、技術力が原因で負けているケースがほとんどなのです。

まずはメンタルよりも己の技術を磨くことが重要であることを理解したうえで、以下のメンタルトレーニングに取り組むようにしましょう。

試合に勝てるようになるメンタルの鍛え方!引きずらない・ビビらない方法

冒頭でも述べた通り、テニスはメンタルに大きく左右されるスポーツであることに間違いはありません。

しかし、メンタルという言葉はあまりにも曖昧なので、メンタルトレーニングの方法について書く前にここでの定義付けをしておきたいと思います。

メンタルが強いとは、

「精神的な問題を解決することが上手いこと(解決にかかる時間が短いこと)」

と定義したいと思います。

人間であれば誰もが動揺します。また、テニスの試合という非日常的なイベントであればなおさら心を平穏に保つことは難しいでしょう。

そのため、メンタルが強いというのは「動揺することがない」というよりも、「動揺からの立ち直りが早い」と定義した方が良いでしょう。

例えば、レジェンドクラスの選手(ロジャー・フェデラー選手、ノバク・ジョコビッチ選手、ラファエル・ナダル選手など)は、相手が素晴らしいショットを打ってきたり、自分が酷いミスをしたり、ジャッジに不服があったとしても、大抵は数ポイントもしくは長くても1ゲームでメンタルを回復してきます。

むしろ、そのような動揺を力に変えてさらに良いプレーを引き出すこともあります。

これがメンタルの強い選手と弱い選手の大きな違いでしょう。

まずはここまで「メンタルが強い=動揺することがない」ではなく、「メンタルが強い=動揺から回復するのが早い」ということを理解してください。

では、どのような方法でメンタルを鍛えれば試合でビビることやミスを引きずることが防げるのでしょうか?

ここでは3つの方法をおすすめしたいと思います。

メンタルトレーニング1 ルーティン・セルフトーク

1つ目は、気持ちの切り替えを上手にするための「ルーティン」と「セルフトーク」といったテクニックについて紹介します。

「ルーティン」とは、試合前や試合中における儀式的な動作を意味する心理学的テクニックです。

毎回同じ動作や行動をすることで、無意識的に素早く集中状態を作り出すことが出来ます。

例えば、「コートに入るときは右足から入る」とか、「大切なポイントの前は必ず靴紐を結びなおす」とかなんでもいいので自分の中で簡単なルールを決めてそれを確実に行うことが重要です。

「セルフトーク」とは、簡単に言えば独り言によって自己暗示をかける心理学的テクニックです。

ルーティンと似ているところもありますが、簡単な合言葉を決めておきそれをつぶやくことで、素早い切り替えができます。

例えば、「次のポイント!」とか、「切り替え!」とか自分への切り替えの合図を決めておいて、それを常に自分に言い聞かせることが大切です。

僕も試合に出ていた頃、ルーティンはありませんでしたが、必ずポイントが終わるごとに「次!」と自分に言い聞かせていました。

そのおかげで良いプレーをしても悪いプレーをしても、ポイント間の20秒を無駄にすることなく次のポイントの取り方を考えることに集中することが出来ました。

メンタルトレーニング2 1点を見つめる

2つ目は、集中力を高めるテクニックについて紹介します。

試合中、ずっと集中力をマックスに高めていることは不可能といっても過言ではありません。

そのため、大切なポイントで集中力を高めることが重要です。

集中のひとつのポイントは「目(視線)」にあります。

例えば、人には集中力を失うとキョロキョロと周りに視線が散らばってしまう傾向があります。

つまり、「気が散る→視線が散る」のです。

そのため、集中を高めたければ視線を1点に集めるというのはとても効果があるのです。

具体的には、ポイント前後にストリングの交点をじっと見たり、ボールの毛1本をじっと見たりすることが挙げられます。

また、ポイント中においてもよりボールに視点を合わせることで雑念が排除され、より高い集中力を発揮することが出来ます。

僕もサービスゲームではボールの毛羽立ちをじーっと見たり、ストリングのずれを直しながら見つめたりしていました。

メンタルトレーニング3 感情マネジメント

3つ目は、最も重要な感情マネジメントについて解説します。

テニスの試合ですぐにイライラしたり、集中力を失なったりするのは、その人の日常的な物事の考え方に問題があると思います。

そのため、僕はこの感情をニュートラルにするための思考法を手に入れることこそがメンタルを強くすることに最も近づくと考えています。

さて、テニスの試合中自分の集中を妨げる要因として、怒りなどの感情があります。

あなたも「ひどいミスをした!」、「調子が上がってこない…」、「相手がとても調子がいい…」などいくらでも心の中が怒りでいっぱいになってしまい、「こんなはずじゃなかったのに!!」という体験を1度はしたことがあるのではないでしょうか。

それは、日常生活でも同じだと思います。

だから、日常的にイライラしたり、落ち込んだりといった負の感情が湧き上がってきたときにそれを上手にマネジメントすることが重要です。

例えば、僕はテニスコーチなので、教えている子が良い成績を残したとき悪い成績を残したときに、たくさんの方から評価をいただきます。

良い成績を残したときにはちやほやされ、少しでも成績が落ちると気が抜けていたんだと批判されます。

僕も少なからずそのような外野の評価にイラっとします。笑

でも、その怒りの核まで深堀りをしていくと「選手と自分は毎日お互い最大限の努力をして試合に臨んだのに、なぜ何もその過程を知らないあなたに批判される必要があるんだ」というところにたどり着きます。

そうしたら、「選手と自分が頑張ってきたという事実は変わらないのだからいいのではないか」、「それによってお互いに大切なものを得られてよかった」という優しい感情になれたのです。

つまり、怒りの核まで冷静に深堀をする練習を日頃からしておくことが重要なのです。

そうすることで、試合中もひどいミスをして怒りでいっぱいになったときに、外的障害や雑念に惑わされずに、ミスをしている原因まで最速でたどり着けるようになるでしょう。

感情をマネジメントすることが出来るようになれば、メンタルの問題で試合を落とすことはほぼなくなるでしょう。

まとめ

今回は、メンタルが強い選手になるためのメンタルトレーニングの方法について紹介しました。

ルーティンやセルフトーク、視線の一点集中は一般的なメンタルトレーニングとして有名な方法なので知っている方もいたかもしれません。

どれもテニスにおける心理的テクニックとしては効果的な方法であることは僕自身実感しています。

最後に紹介した感情マネジメントは、テニスだけでなく日常生活にも生かすことができるでしょう。

感情に支配されて大切なことを見落としてはいけません。

自分の心を整える方法を探求することは人としてとても大切な課題だといえるでしょう。

コメント

    • 姫野正光
    • 2020年 11月 21日

    練習と試合ではまったくスピードが違う。
    正確の弱さが原因なのか。

      • tenniscoach
      • 2020年 11月 23日

      姫野さん
      コメントいただきありがとうございます。
      経験を積むにつれて、練習と試合の差は徐々に縮まってきます。
      これは誰もが経験するものであって、心折れることなく練習と試合を積み重ねることをお勧めします。
      きっと数年後には「練習と試合が全然違う」という悩みはなくなり、「どうやって戦おうか」に意識が向けられるようになると思います。
      ぜひ頑張ってください!

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