こんにちは、テニスコーチの高田です。
今回は、テニスの上達や怪我の予防に繋がる腕のトレーニング方法を解説をします。
テニスにおける筋トレの効果と必要性について解説した上で、具体的なトレーニングメニューを動画付きで紹介したいと思います。
手首や肘周りの動きを司る腕の筋肉は、ジムに通わなくても自宅(室内)で簡単に鍛えることが出来ます。
・テニスをすると練習後や翌日に腕の筋肉痛に襲われる。
・チューブや重りなどのトレーニンググッズを買ったものの正しい使い方がわからない。
・家で毎日腕立て伏せ・腹筋・背筋など上半身の自重トレーニングをしているがテニスの上達に効果を感じない。
・サーブ、ボレー、フォアハンドストローク、バックハンドストロークで打ち負けない腕力をつけたい。
・手首や肘や肩に痛みがあり(腱鞘炎・TFCC損傷・テニス肘・テニス肩など)、サポーター・アームカバー、テーピングに頼りきりなのをどうにかしたい。
・左右で腕の太さが違うのをなおしたい。
もし、あなたがこのようなお悩みを抱えているならば、この記事を読み、実践することで改善する可能性が高いでしょう。
テニスにおいて腕の筋肉の強さと柔軟性はパフォーマンスの向上と怪我の予防の両面でとても重要です。
最近はさまざな本やウェブサイトでトレーニング法が公開されているので、自分の目的に合ったトレーニングメニューを探してみましょう。
目次
テニスの上達における腕のトレーニングの必要性と効果について
まず、本題に入るまえに「テニスにトレーニングは必要なのか?」という重要な議論をしておきたいと思います。
僕は、ある一定以上のレベルを目指すならばトレーニングは絶対に必要だと考えています。
週1~2回程度テニスをするウィークエンドプレーヤーにトレーニングは必要ありません。なぜならトレーニングをするくらいならテニスをした方が確実に上達するからです。
しかし、試合に出て勝ちたいと思っている週3回以上練習をしているプレーヤーは、ジュニア・一般・シニアや男子・女子問わず強度は別として身体づくりに取り組む必要があるでしょう。
なぜなら、トレーニングをすることで1)身体が強くなる・身体の使い方が上手くなるから、2)負荷のかかる練習に取り組めるようになるからです。
まず、トレーニングに取り組むことで身体を強化したり、その使い方を覚えたりする効果が期待できます。
腕であればトレーニングすることでストロークやボレーで打ち負けることなく手首や肘の角度を固定して保つことが出来るようになります。
また、トレーニングをすることで身体が強化され、負荷の強い練習=強い相手を想定した練習をきちんとこなせるようになる効果が期待できます。
例えば、腕力を強化することで手首や肘や肩などの関節にかかる負担が減るため、長時間高いレベルで練習をすることが出来るでしょう。
僕は、前者よりも後者の理由でトレーニングをすることをおすすめしています。
このように、テニスの上達においてトレーニングは身体を強化し、より強度の高い練習に取り組めるようになる効果が期待できるのです。
テニスの上達に繋がる腕の筋トレ・トレーニングメニュー(動画付き)
ここからは具体的に腕の筋トレ・トレーニングメニューを動画付きで紹介していきます。(動画は全てYoutubeから参照しています。)
また、それぞれのトレーニング法によってどのような効果を得られるのか、基本ショットであるサーブ・フォアハンドストローク・バックハンドストローク・ボレーについて解説します。
どれも特別高価な器具を必要とせず、家でも出来る簡単なトレーニングなので、継続して取り組んでみましょう。
※既に手首や肘や肩が痛い方や怪我をしている方はこのトレーニングを行わないでください。なかなか痛みが引かない場合は病院や治療院に行きましょう。
※あくまでも選手・コーチとしての経験と知識でおすすめしています。より詳しくトレーニングを学びたい方はジムやテニススクールのトレーナーにご相談ください。
テニスの腕のトレーニングメニュー:リストカール
鍛えられる筋肉:前腕屈筋群
必要な器具:ダンベル(水を入れたペットボトル・チューブで代用可能)※重さは「回数・セット数」をぎりぎりできる重さに設定しましょう。
回数・セット数:15~20回×1~3セット
重りを持ち手首を背屈した状態から掌屈させるトレーニングです。
注意点は、1)手首を大きく動かすこと、2)手首以外を動かさないこと、3)下ろすときはゆっくりと下ろすことです。
リストカールで前腕を強化することで得られるテニスへの効果
〇サーブ
インパクト前のスイング局面で前腕屈筋の伸張反射により強いインパクトをすることが出来るようになる。
〇フォアハンドストローク
インパクト前のスイング局面で前腕屈筋の伸張反射により強いインパクトをすることが出来るようになる。追い込まれたときにリストを使ってボールを返球することが出来るようになる。
〇バックハンドストローク
インパクト時に拮抗筋として働き、安定したインパクトをすることが出来るようになる。
〇ボレー
手首が固定され安定したインパクトをすることが出来るようになる。特にフォアボレーのインパクトの強さ・安定感を高めることが出来る。
テニスの腕のトレーニングメニュー:リバースリストカール
鍛えられる筋肉:前腕伸筋群
必要な器具:ダンベル(水を入れたペットボトル・チューブで代用可能)※重さは「回数・セット数」をぎりぎりできる重さに設定しましょう。
回数・セット数:15~20回×1~3セット
重りを持ち手首を掌屈した状態から背屈させるトレーニングです。
注意点は、1)手首を大きく動かすこと、2)手首以外を動かさないこと、3)下ろすときはゆっくりと下ろすことです。
リバース・リストカールで前腕を強化することで得られるテニスへの効果
〇サーブ
インパクト時に拮抗筋として働き、安定したインパクトをすることが出来るようになる。
〇フォアハンドストローク
インパクト時に拮抗筋として働き、安定したインパクトをすることが出来るようになる。
〇バックハンドストローク
インパクト前のスイング局面で前腕伸筋の伸張反射により強いインパクトをすることが出来るようになる。追い込まれたときにリストを使ってボールを返球することが出来るようになる。
〇ボレー
手首が固定され安定したインパクトをすることが出来るようになる。特にバックボレーのインパクトの強さ・安定感を高めることが出来る。
テニスの腕のトレーニングメニュー:トライセプスエクステンション
鍛えられる筋肉:上腕三頭筋
必要な器具:ダンベル(水を入れたペットボトル・チューブで代用可能)※重さは「回数・セット数」をぎりぎりできる重さに設定しましょう。
回数・セット数:8~10回×3セット
重りを両手で持ち頭の後ろから重りを上げ下げするトレーニングです。
注意点は、1)上腕三頭筋(二の腕)の筋肉を収縮させること、2)肘の位置が変わらないように天井に向かって上げ下げすること、3)下ろすときはゆっくりと下ろすことです。
トライセプスエクステンションで上腕三頭筋を強化することで得られるテニスへの効果
〇サーブ
スイング局面で上腕三頭筋の伸張反射により強いインパクトをすることが出来るようになる。
〇フォアハンドストローク
スイング全体の安定性が高まる。
〇バックハンドストローク
スイング全体の安定性が高まる。
〇ボレー
打球面の安定性が高まる。
テニスの腕のトレーニングメニュー:ダンベルカール
鍛えられる筋肉:上腕二頭筋
必要な器具:ダンベル(水を入れたペットボトル・チューブで代用可能)※重さは「回数・セット数」をぎりぎりできる重さに設定しましょう。
回数・セット数:8~15回×3セット
重りを持ち肘を曲げ伸ばしするトレーニングです。
注意点は、1)下げるときにダンベルを返すこと、2)肘の位置が変わらないように曲げ伸ばしすること、3)下ろすときはゆっくりと下ろすことです。
ダンベルカールで上腕二頭筋を強化することで得られるテニスへの効果
〇サーブ
スイング時に拮抗筋として働き、安定したスイングをすることが出来るようになる。
〇フォアハンドストローク
スイング全体の安定性が高まる。
〇バックハンドストローク
スイング全体の安定性が高まる。
〇ボレー
打球面の安定性が高まる。
テニスの腕のトレーニングメニュー:腕立て伏せ
鍛えられる筋肉:上腕筋(特に上腕三頭筋)、大胸筋
必要な器具:なし
回数・セット数:15回
自重を腕と体幹で上げ下げするトレーニングです。鍛えたい部位に合わせて手の幅を変えると良いでしょう。
注意点は、1)身体をまっすぐに保ったまま上げ下げすること、2)手の幅を調節して鍛えたい部位に効かせること、3)下ろすときはゆっくりと下ろすことです。
リバース・リストカールで前腕を強化することで得られるテニスへの効果
〇サーブ
スイング局面で上腕三頭筋の伸張反射により強いインパクトをすることが出来るようになる。腕の筋肉や手首・肘・肩の関節が強くなり、スイングの安定性が高まる。
〇フォアハンドストローク
腕・体幹の筋肉や手首・肘・肩の関節が強くなり、スイングの安定性が高まる。
〇バックハンドストローク
腕・体幹の筋肉や手首・肘・肩の関節が強くなり、スイングの安定性が高まる。
〇ボレー
腕・体幹の筋肉や手首・肘・肩の関節が強くなり、打球面の安定性が高まる。
テニスの腕のストレッチメニュー
伸びる筋肉:前腕筋群・上腕筋群
必要な器具:なし
回数・セット数:20~30秒
手首や肘の動きに関わる前腕と上腕の筋肉群を伸ばす、関節を緩めるストレッチです。
関節や筋肉の柔軟性を高めることで腱鞘炎やTFCC損傷やテニス肘などの予防をすることが出来ます。
トレーニング後やテニスの練習後にこのストレッチを行うと良いでしょう。
おまけ:なぜプロテニスプレーヤーは腕時計を付けて試合をするのか?
おまけとして腕繋がりでプロテニスプレーヤーが腕時計を付けて試合をする理由についても解説しておきましょう。
ラファエル・ナダル選手をはじめとして一見プレーの邪魔に見えるゴツめの腕時計をしているプロテニスプレーヤーは多くいます。
タグホイヤー、リシャール・ミル、ロレックス、セイコー、オメガなど選手や大会によって違いますが、高級ブランドの時計をしています。
これはほぼ全てスポンサー契約によるものと考えて良いでしょう。
テニスは腕周りがよく画面に映るので、昔から高級時計メーカーがスポンサーになるケースが多くあります。
ぜひ今度試合を観る際は誰がどこの時計をしているのか注目してみてください。
まとめ
今回は、テニスの上達や怪我の予防につながる腕の強化トレーニングについて詳しく解説しました。
「テニスに腕力は必要ない!」と主張する人もいますが、腕はすべてのスイングを作り出すために働く重要な部分です。
適度な柔軟性と筋力を保ち、ショットの威力と安定感のバランスを取れるようにしましょう。
もちろん、テニスを上達させるにはテニスの練習をするしかありません。
トレーニングは、その練習をより高度なものにするための手段の1つであることを忘れないようにしましょう。
そう考えることで目に見える効果が出なくとも、継続することが可能でしょう。
また、身体づくりにはトレーニングに加えて、休息や食事が重要になります。特にジュニア世代の選手は後者をないがしろにせず、きちんと計画的に身体を鍛えましょう。
もし、あなたが本気で「上手くなりたい!」、「勝ちたい!」と思うなら、僕は全力で応援します!
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