テニスにおいてサーブは肩や肘の怪我の原因になりやすいショットのひとつです。
トップのアマチュア・プロテニスプレーヤーの多くが、一度はサーブが原因で痛みを感じたことがあるでしょう。
サーブはショットの中でも複雑な構造になっているため、打ち方に無理があると練習を積み重ねるごとに身体へ負担をかけることになるのです。
サーブはプレーを始める重要なショットであるがゆえに、肩や肘のオーバーユースになりがちです。
そのため、なるべく無理のないフォーム=人間の身体の構造に合った自然な動きで打つことが重要になります。
今回は、サーブで起こる肩や肘の痛みの原因とその対処法について解説したいと思います。
怪我をしないサーブの打ち方のヒントは野球のスローイングにあり!?
サーブの打ち方について説明するとき、よく引き合いに出されるのが野球のスローイングです。
結論からいうと、テニスの打球動作における腕のスイングはサーブに限らず、野球のスローイングがもとになります。
肘や肩関節が全身の動きとボールの重さによって自然にねじれ、そのねじれが解放されていく過程でボールにスピンとスピードを与えるあの動きこそ正しい肘や肩の使い方なのです。
腕や肩の筋肉を使ってラケットを動かすのではなく、勝手にラケットが動かされるような感覚を身につけることができれば、怪我をしにくい打ち方をすることが出来るでしょう。
肩や肘の怪我をしないサーブの打ち方を身に着ける方法
では、具体的にどのようなことを意識すれば、先に説明したような打ち方を身に着けることができるのでしょうか?
スローイングの正しい腕の動きは、適切な運動連鎖から生まれます。
運動連鎖とは、全身の筋肉の緊張と緩和のタイミングが適切に起こることで、地面を足で蹴る力や身体の捻り戻しの力を増幅しながら末端(ラケット)へ伝えることを意味します。
初心者や初級者ほどぎこちないスイングになってしまうのは、この運動連鎖が上手くいっていないからです。
適切な運動連鎖を身に着けるために重要なのは「脱力」です。
しかし、脱力してショットを打つというのはなかなか難易度が高いです。
そのため、まずはラケットではなくボール投げから始めましょう。
特に気を付けることは、
- 肩甲骨から先の手の力を抜いて、肩を支点に振り子の感じで耳まで小指側・手の甲側を引きつけること。(腕の力を使って引きつけると耳まで持ってくると手のひらが耳の方に向きます。)
- 足を蹴る力が、股関節→体幹→肩甲骨→肩関節の順に上がってくるイメージをもって、脱力された腕がボールの慣性力によって勝手にねじられ、その捻り戻しでボールを飛ばす。
なかなかイメージが難しいと思うので、プロ野球選手の投球フォームなどをYoutubeで探すといいでしょう。
腕の力を使わずにボールを飛ばせるようになったら、ラケットを持ってみましょう。
ラケットをスイングするときもボール投げと同じような運動連鎖ができれば、関節や筋肉にかかる負担が減り、肩・肘・手首の怪我を予防できるのです。
また、サーブのスピード、回転量、コントロールのアップも見込めるでしょう。
詳しいサーブの打ち方は【保存版】テニスのサーブの打ち方をご覧ください。
まとめ
テニスはとても難しいスポーツの1つです。
なぜなら、ラケットという重さと大きさのある道具を、まるで自分の身体の一部のように扱えるようにならなければいけないからです。
上手な人のスイングが流れるように美しいのは、各筋肉が適切なタイミングで緊張と緩和をしているからです。
初心者がいきなりこの技術を身に着けることはできません。
基礎運動の1つであるボール投げから身につけましょう。
土台がなければその上に技術は積み重なりませんからね。
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