サーブを打とうとして、腰に痛みや違和感を感じたことがある方は少なくないでしょう。
サーブの速度や回転量を上げるために必要以上に腰を反るような打ち方を続けると、背骨や筋肉にかかる負担が大きくなり、腰を痛める原因になる場合があります。
確かに上手な人のサーブを見ていると腰を反って「ため」を作っているいるように見えます。
しかし、実は腰を反って「ため」いるように見えるだけであり、実際は違うのです。
今回は、サーブの「ため」について解説し、どのような打ち方をすれば腰痛を予防しながら良いサーブが打てるのか考えたいと思います。
腰を反る打ち方でサーブの回転量と速度は上がるのか?
腰を反って「ため」をつくってから腹筋の収縮によって状態が起き上がってくるエネルギーを使えば、もっと速い回転のかかったサーブが打てる。
このようなアドバイスを受けたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
確かにトレーニングをして強い体幹(腹筋・背筋など)を持っていれば、この反り戻しの力で多少はサーブのパワーアップが見込めるかもしれません。
しかし、冒頭でも述べたように腰を大きく反ると筋肉や背骨に大きな負担がかかります。
腰は、腰椎1つ1つが積み重なっているため関節が多い構造になっています。大きく腰を反ると関節間が圧迫されたり、その関節を支える筋肉に疲労が溜まるのです。
すると、腰椎の疲労骨折やヘルニア、慢性的な筋疲労による腰痛が起こるのです。
また、テニスコーチである僕個人の意見としては、腰を反るようなイメージでためを作ることはありません。
腰を反っているように見えるのは、ためを作るときに膝や股関節を曲げるため、背中が地面に対して垂直ではなくなるからでしょう。
だから、サーブにおいて腰を反るような打ち方をするのは百害あって一利なしなのです。
サーブで腰に痛みを感じる人へ!腰痛にならない打ち方を身につけよう
では、具体的にどのような打ち方をすればサーブで腰の痛みを感じにくくなるのでしょうか?
サーブの回転量を増やしたり、スピードをアップしたりするためにはスイングスピード(スイングが持つエネルギー量)を高める必要があります。
先にも述べたようにサーブのスイングのエネルギーの元である「ため」は、
- 股関節と膝を曲げること
- 上体を捻ること
で生まれます。
僕の意識的にはサーブのエネルギーのほとんどは、前者の股関節と膝の曲げ伸ばしによる地面の蹴り上げで起こると考えています。
ためを作る際には股関節と膝を適切な角度に曲げる(最も高くジャンプできる角度に曲げる)ことが重要です。
曲げすぎ、棒立ちでは力を発揮することができません。
とはいっても、これまで腰を反るような打ち方をしていた方は、基本的に股関節が曲がらない(固い)方が多いと思います。
股関節が曲がらないから、その代わりに腰を反るという動作をしているケースが本当に多いです。
だから、まずは股関節がきちんと使えるようにしなくてはいけません。
ストレッチをしたり、スクワットなどの股関節を使うトレーニングをしたりことをおすすめします。
腰を反って生み出していたエネルギーを足の蹴り上げによって作り出すことで、腰への負担が減るだけでなく、これまでに打ったことがないような素晴らしいサーブを打つことが出来るでしょう。
まとめ
このように、サーブの打ち方ひとつで怪我の原因になるケースもあります。
少し本筋から外れますが、腰痛になりやすい人は、日常生活から姿勢が悪い人が多いです。
座るときに股関節が曲がらなかったり、肩・首・背中の筋肉が凝り固まって肩甲骨を寄せられなかったりしています。
だから、先に説明したようなストレッチやトレーニングをしたり、日ごろから自分の姿勢を気を付けたりすることが重要です。
慢性的な腰痛は一朝一夕には治りません。
坐骨神経痛や腰椎分離症のような症状がある場合は、一度専門家の診断を受け、リハビリをしたうえでテニスに復帰しましょう。
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